物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

嵐の夜に車を走らせて思うこと

黒い雲が東京の空を覆い隠し遠くで稲妻が光った。

雨を誘う風が吹き、荒れ模様の空は僕の心を映し出したように忙しない。

虎ノ門ヒルズは雲で全体を隠していた。さっきまでいたアンダーズ東京は雲の中にある。降り出した雨の中で彼女のことを考えていた。秘密の逢瀬を重ねても虚しいだけなのに、彼女と会うと僕は嬉しくなる、感情は理屈を超えてゆくのだ。会った時よりも別れ際のほうが幸せな気持ちになるから困ったものだ、逃亡者のように人目を忍ぶ共犯者、僕らの関係はボニーとクライドみたいだった。

難しいことは考えずに今の時間を大切にしようと思う。明日は死んでいるかもしれないから後悔はしたくない。

やがて降る雨は強まりワイパーが効かないほどの豪雨になった。このまま首都高のガードレールにぶつかって全てを終わらすのも悪くない、そんな考えが頭をよぎる。僕は破綻しているのだと改めて自覚する。ギリギリの精神状態なのに冷静な自分が可笑しくて苦笑いを浮かべた。