物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

老舗の寂しがり屋

今すぐ会えないか、迎えに来てくれと真夜中過ぎにLINEを送った。寝ていた彼女は「どうしたの」と尋ね「今、どこにいるの」と返信が来た。赤羽駅の西口ロータリーだよ、どうしても君に会いたい、5分だけでも君に会いたいと告げると「困った人ね分かったわ、30分待ってくれる」と彼女は答えた。化粧も着替えも必要ないよ、兎に角会いたいんだと彼女に告げ、迎えを待つ間二人の女にLINEを送り時間を潰した。

25時近くになって彼女は白い軽自動車に乗って現れた「なにかあったの、あんたから急に会いたいなんて初めてだからびっくりしちゃった」寂しくなって君の顔が浮かんだからさ、会いたくなっちゃたから仕方ないだろ

「あんたって可愛いね」と彼女は笑った。

「あれ、今日はお気に入りの彼女とデートだったんじゃないの、ヘンなことして振られたんでしょ」と若いくせに年増のような口振りだ。いや、楽しかったよ。でも愛されてないことを確認して寂しくなったんだ。「それで、わたしを呼んだんだ、分かり易い人ね」

と嬉しそうに笑う。

「ねぇ、わたしとその女とどっちが好きなの」悪戯ぽく彼女は言い僕の瞳を覗き込む、

どちらも魅力が違うからどっちも好きさ。「ねぇそんなときは嘘でもお前だよって言うものよ、それであんたをどこに連れて行けばよいのかしら」自宅近くまで送ってくれといったら「わたしはタクシーがわりなのね、あんたってホントクズ野郎だ」と叱られた。

明日子供の誕生日で運動会なんだ、早く帰って眠らないと「それ、わたしが聞いて喜ぶと思う」と呆れられる。ごめんね、でも君に会えて良かったよ、顔を見たらほっとした、それに君は僕のことが心配だっただろと手を握ると「馬鹿ね」と顔を赤らめた。

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