物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

心はうらはら

求めに応じて僕は僕らしく振る舞った。

同じように見えるけど昔の僕とはもう違う。

僕は事実を知ってしまった、もう昔には戻れないんだ。それが何かは今は言わないけど。

火曜日は躓くことが多い日だ、思うように行かないことばかりだけど、誰のせいでもないから尚更苦しい。目の前の問題を追いかけて追いかけられ、とにかく止まらず走り続けていた。人生に疲れてへとへとになった僕は、ブラックホールに吸い込まれるように、猟奇的な彼女と毎日会って話をした。彼女の破天荒な人生はまるで絵本の中のおとぎ話のようだ。僕は自意識過剰な若い頃の自分を見ているようで、チリチリと胸が痛んだ。彼女を眺めていると、ただただ懐かしく切ない気持ちになる。

会話の途中で僕が彼女に微笑むと、たちまち彼女は不機嫌になった。君の考えは間違っていると否定すると、彼女の怒りはさらに加速した。わがままに呆れてしばらく黙ると「怒ったの、言い過ぎたよ、ごめんなさい」としおれて謝る、不思議な娘だ。

無防備に、全てを預けて僕に依存し甘えている彼女が愛おしい。もう無理なんてしなくても良いと告げると、声を上げて彼女は泣き出した。

僕は彼女を抱き寄せもせず、声もかけずに部屋を出てベランダで口笛を吹いた。風に乗って救急車のサイレンが遠くから聞こえた。

どうして僕は何時でも楽な選択肢を選ばないのだろうと考えていた。さめざめと泣く女に手を焼いて、僕は途方に暮れていた。

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