物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

わたしに振り向いてと彼女は叫ぶ

「わたし、高校生の時に親と喧嘩して出てけって言われて頭にきて、家中の靴を玄関から外に投げ捨てたことがあったんだ」

でも、利口な犬が全部咥えて来て元に戻したんだろ。

「なにそれ、家には犬なんて居なかった、あんた何時もふざけないでよ、おっさん冗談が寒いぞ」

それとも家族に新しい靴をプレゼントするつもりだったのかな、サプライズ的なヤツでさ

「バカだろ、嫌がらせだよ、ワカルだろボケ」

小気味よいねぇ、君の悪口はリズムがいい。

「わたし、お姉ちゃん大嫌いでさ、ブスで性悪で外面だけ良くてちゃっかりしてるんだよ、それにあいつ、外であったら無視すんだよ」

それで今度は何を捨てたの、彼女の下着でも窓から捨てたのかい、困ってただろ

「エロオヤジ、そんなん無くても上から服着れば平気だよ」

君は逞しいね、それに少し騒がしいと不意に唇を塞ぐと大人しくなった。

「ずるいぞ、わたしって嫌われ者だろ、あんたもあたしのこと本当は嫌いなんだろ、都合が良いから会ってるだけだろ、でもわたしも大嫌いだからね」

素直なのか強がりなのかは解らないけど、彼女はとても可愛い人だと思って、愛おしいと優しく抱きしめる。