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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

嘘をつく唇は苦い味がする

昨晩、僕の唇を噛んだのは君なのか、それとも他の女だったのか。別の生き物みたいに跳ねる舌を絡めたのは愛だったのか義務だったのか、僕は君から剥き出しの欲望を手渡されて持て余している。

君は呼べば来るガールフレンドの一人で、たまに肌を触れ合うだけの女なのに、恋人みたいな事を言う。

「何時になったら一緒に暮らせるの」

無理だよ、君は僕の家庭を壊したいだけだろ

「私じゃなくても誰かが壊すわ、あなたが不幸になるなら、なんでもいい」

「嫌なら抱きしめて」と呟く君の瞳が濡れて光を帯びる、君は僕が拒まない事を知っている。

心地よい柔らかな体、透き通る白い肌をシーツの海に惜しげもなく投げ出し誘惑する君。

悪い女だよなと言うと

「可愛いものよあなたよりか」と鼻で笑う。

僕がごっこ遊びで本気になる訳なんてない、

納得ずくの大人の関係、ゲームのような駆け引きと痺れるような背徳感が癖になっているだけなのさ。

「あなたのことが好きよ、大好きだからもっと苦しませてあげるね」

誰でも良かった。暇潰しの相手がたまたま君だっただけさ。今更好きとか愛しているとか止めてくれよ。

「今度職場に奥さんのふりして電話するから、寂しいから早く帰って来るように伝えて下さい」って言ったらあなた困るでしょ

出来るものならやってみればいい、

それで気が済むのならやれば良いのさ。僕に何を望む、僕の体温、僕の心、それともお金、可能な限り君に与えたよ、君は僕との関係を楽しんだはずさ、ルールを守れない君は破滅を望むのだね。

「あなたも早く終わりにしたいんでしょ」

そうだな、でも君に人生を預けるのは無理だよ、君の為には闘わないし死ねないよ。

僕が、全てしゃべり終わる前に君は背を向けて着替え始めた。

「時間よ共犯者」

と君は言い、鏡の前でルージュを引いた。