物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

誰も知らない空色

曇天の下で空を仰いで雲上の宇宙を想う、

星も月も見えない夜空を眺めるなんて意味がないと人は笑うだろうが、他人なんてどうでもいい。

見えないものを見ようとする想像力が世界を変えるのだ、他人から与えられた景色やルールなんてつまらないよ、自分の小さな世界だけでも解放されたいのだ。

価値や意味なんて個人の勝手、人の目を気にして生きていくなんてくだらない。

全てを捨てたい、名前も家族も仕事も友人も皆無くなってしまえば楽なのに、縛られて何処にも行けない、優しいのではなく弱いのだ。残された人々に傷を残すのが心苦しい。

電車のドアに持たれて夜空を眺めていた。車窓を流れる街の灯りが雲に映って赤に紫に空が染まる。みんなご覧よ、君たちが俯いて覗くスマートフォンの中にある世界よりも、現実は不規則で艶めかしく美しい、と電車の中の知らない誰かに伝えてみたくなったけど、世界と僕の距離は遠い。

僕しか知らない空色は漆黒の黒、鼠色と濃紺の中間色で、とても綺麗に見えた。せめて君が隣にいたら教えてあげたいなって思ったけど、僕らは透明なガラスの壁(用意したのは僕だけど)に隔てられ、僕の言葉は聞こえない。

空を見ることが辛くなって掌を眺めた。この手で掴んだもの離したものを思い出し溜息をつく。

今日は駄目だ過去に捕われて辛くなるな、いや今日もだな。と笑う僕を誰も知らない。

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