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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

シンクロニシティ

食事を終えてクロークに預けていたコートを受け取り玄関を出た後、僕は心の中でそっとため息をついた。楽しい時間は終わり現実に戻るのか、君ともっと一緒にいたい、離れたくないのだと。そう思った瞬間に同じタイミングで君がため息をついたので、僕の想いが通じたのかと思いドキリとしたんだ。

「やっと解放されてほっとしたの」と心にもないことを言って本心を隠す僕。言葉は不自由だ、語らなくても僕と君は同じ気持ちなのに。

 君と会う度に、これが最後と心に決めていた。僕は君にふさわしくない、君の将来に災いしかもたらさない男だ。それに君と距離を縮めることで、僕も善良で大切な人を失うことになる。

困ったものだ。僕は君から離れようとしているのに君の魅力に不思議な引力に引き寄せられてしまう。

いずれ僕は君を失い傷つくことは分かっているのに、何故なのか感情をコントロール出来ないでいる。十分大人なのにね、可笑しいよ。でも、諦めるのはもう少し先で良いと思っている、来月は君を何処に誘おうかと考える僕のことを、君は健気で愛おしいと思ってくれるのかな、想い過ごしでも恋は恋なのだ、君と二人で再び逢える日を楽しみに明日を過ごす、ささやかで厳かな願いが叶うことを信じて生きている。君と同じ世界にいることだけで僕は満足だよ、嘘ではない、今日に限っては世界で一番君を愛していると断言できる。素直な気持ちで好きだと言うよ、君が大好きだよ。世界で一番君が好きだ。

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