物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

心が潰れる音1

その人は僕の憧れだった。常に堂々と落ち着いていて機嫌よく笑う人だった。彼は何時でも僕に夢や希望を語り、意欲的で前へ前へと進む挑戦者だった。

「人生は良いものだ、頑張れば必ず結果がでる」と涼しい顔で笑いかける彼は僕のヒーローでアイドルだった。

大きくて強くて格好が良い、兎に角何もかも敵わない大人の男だ。

「好きな女には好きと言わなきゃ始まらないぞ、自分を認めてもらってからが勝負だ」

彼は好人物でありながら子供みたいに、はしゃいで場を盛り上げる無邪気な人でもあった。彼と飲む酒はおいしかった。

何時も話題の中心で陽向に立つ彼の姿は眩しくて、短髪で浅黒く、目尻に笑い皺が出来る彼のことを誰もが好きだった。一時期僕は着ている服も髪型も口癖さえも彼の真似ばかりしていたことを思い出した。

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