読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

毎日手紙を認めていた

彼女に文章と僕の好きな曲を贈っていた春の始めの頃は、僕にとって癒やしの日々で、彼女の反応を想像しながら曲を選び文章を添え、同じ気持ちで音楽に包まれて眠る夜は二人の秘密の時間だった。離れていても息遣いが感じられるような幸福な夜を僕は過ごしていた。心が通いあう幸福な毎日だったと僕は思っていた。ところが、ある日気がついた。これ以上彼女には近づいてはいけない、惑わせる言葉で誘うことは彼女を不幸にすることだと。そしてそれは誰も望まないことで、僕が節度を保たなくては全てが壊れてしまう危うい関係なのだ。これ以上親密になってはいけない、線を引いた内側には足を踏み入れないことだ。僕のような男に彼女を近づけてはいけない。そもそも、同じ気持ちで過ごしていたなんて、僕の勝手な思い過ごしなのだ。彼女は泣き言を言う可哀想な男を見守り労るつもりで、仕方なく付き合ってくれてただけだ。勘違いと身勝手な思い込みでしかない。その現実に気がついた時、ようやく夢から覚めた気分になった。彼女はただの娘で天使ではない、残ったのは胸の痛みと思い出の日々。本当は初めから分かっていたんだ、気がつかないふりをして誤魔化していた、幸福な気分を失いたくはなかった、こんな半端な男にもまだ夢が見れると信じたかった。 でもそれは間違いだ。いつでも僕は愛を欲し、過去の傷に触って顔を顰める。一生こんな自分を持て余し誰かに甘えて迷惑をかけていく人生だ。こんなことには付き合わせてはいけない。ありがとう ショートカットラブリー、君と過ごした時間は僕の大切な宝箱にしまっておくね、そして君と過ごし日々の思い出を時々取り出して切なくなるから、冬の晴れた日の柔らかな日差しが差す午後に静かに君を想い、ため息をつく僕を笑わないで下さい。「さようなら」は声に出すとなんて美しい言葉なのだろう。