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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

ここではない、どこかへ

自分は此処にいるべきじゃない

子供の頃から何時も

本当の自分の居場所を探していた

ベッドの上で天井を見上げ此処から出ていく日の事を考えていた

職場のデスクに座り来年は何処でどうしているかと夢想した

学校を出た後、海外生活を夢みて逃れるように家を出たけども、家族にアクシデントが起きて志半ばで実家に連れ戻された

用意された人生はつまらない

雁字搦めの人間関係と官僚的な縦割り社会

それでも、与えらえた仕事をこなし、敵を作らず仕事を評価され、周囲の信頼を勝ち得ることに成功した

器用に世の中を渡る才覚はあった、微笑みを欠かさず親切な対応を心掛けた

しかし、心は悲鳴を上げていた「これは誰かの人生だ、僕のとは違う」と叫んでいた

僕が抱く不穏な魂を心配する友人が紹介してくれた、心優しき女性と恋に落ち、結婚をして暖かい家庭にも恵まれた

愛すべき家族と穏やかな生活を送る毎日、何不自由もない、人が羨むほどの順調で幸福な人生

でも、これは僕の望んだ人生ではない

サーカス団や旅芸人の一座に加わり

仕事が終わればテントを畳んで他の

街へと移動する

居づらくなったら、場所や仕事を変え

誰にも気にされず、風の向くまま縛られず自由に生きていく

何時も何時までも

知らない世界に辿りつく日を夢見ていた

知らない土地で新しい仕事を手に入れて

新しい人生を歩む日を願っていた

明日は此処にはいない、誰も僕を知らない世界を目指す

だからこそ、いずれは会えなくなるならと人とは真剣に向き合った

会える内に僕に役立つことがあれば

惜しげもなく全てを与えたいと思っていた

明日死んでも悔いないようにと

今日が最後と腹をくくった

「明日は違う景色を眺めて眠る」

そう今日も同じ天井を見つめて嘆く

そんな日々ももう終わりだ

もうすぐ別の世界へ旅立つ日が来る

そう、別れは突然我が儘なものさ