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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

改札口を出る頃には、雨もやみかけた

改札を通り抜け振り返ると

まだ君は手を上げて僕を見ていた

暫く歩いてまた振り返ると、まだ君はそこにいた

胸を突く想いに体が勝手に反応していた

僕は引き返し君を抱きしめた

誰が見ていても構うものか

このまま、帰る家を捨て二人で

何処かへ逃げよう

だけど逃げ場所なんて何処にもない

強く抱きしめることしか出来ないのに

叶わぬ未来を夢見てはいけない

「さっき返却したはずよ、あなたは図書館で借りた本、貸し出し期間が終われば、元の場所に戻るのよ」

中には返さない奴もいるよ

「私にはできないわ、あなたは立派な本棚に収まって、また私が借りる日を待って、あなた人気があるから、結構待つわね」

そんなことはない、ただ読み易くて薄っぺらいだけだ

「あなたほど読み難い人あまり居ないわよ、まだ物語は途中だし、次会う日が楽しみね、私の物語はBOOK OFFにでも売ろうかしら」 

彼女は急に真顔になり

「もう帰ったら」と冷たく言い放った

もう見送らないわと踵を返し

雨の街に消えていく

僕は彼女の傘が見えなくなるまで

そこで立ち止まることしか出来ない