物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

Rain

人生の節目には何時も雨が降っていた

台風の日に生まれた僕に

雨はついてまわった

入学式も卒業式にも雨は降り

彼女と付き合った日、プロポーズした日

結婚式も雨だった

雨は時に強く、優しく

粘り強く、呆気なく降った

水のトンネルを潜るように

彼女を迎えに行くのは楽しく

独りで傘を差して帰る夜は寂しかった

初夏の豪雨は僕を撃ち抜き、買ったばかりの白いスニーカーを濡らした

晩秋の細かな雨の中の別れは、心に消えない染みをつくった

春雨に煙る街でぼんやりと灯るオレンジ色の街路灯が物悲しくて君を帰さず甘えた夜も

霙が降りすさぶ冬に君を抱きしめに山を越えたことも今では良い思い出として僕を癒す

やがて雨が上がるときれいな星空が広がった

台風が過ぎた朝は磨いたような青空だ

穏やかで凛とした空気が満ちた世界

雨の日は晴れの日を輝かせる

今日は人を傷つけ

誰かの人生を狂わせた

人を押しのけることは未だに慣れないが

明日が晴れるのならば

土砂降りの雨も悪くない

彼も僕もそう思える朝が来ることを

心から祈っている

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