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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

お話にはならない物語

「私は塔に閉じ込められているの、高窓を見上げて王子様が助けに来てれるのを待っているのよ。早く私を救い出して、これから先は何時も傍に居て、ずっと私を好きでいて、決して嫌いにならないでね」 「待っていて、もうすぐ君を解放するから、捕らわれのプリ…

不義であり文化ではないのは知っている

言い訳をしたところで、相手の感情が晴れる訳ではないので、事実に基づき判明した過ちについて、心を込めて深く謝った。客観的事実とそのために引き起こされた事象について謝罪はするが、自分の行動については覚悟の上でのことなので、迷いはなく反省はしな…

哀しいことばかりではない

古い友人と麻布十番のバーで再会した。久しぶりにたわいのない懐かしい話を色々思い出してたっぷり笑った。いつの時代も僕は僕で、おっちょこちょいでお人好しで、皆に愛されていたみたいだ。人生は捨てたものではないなと思い、世に出た彼の生活と苦労話を…

放浪者の気持ち

「私、中学生の頃に部屋の天井を見上げて、ここは居心地が悪い場所だなって思っていたんだ」 僕も一緒だよ、何時でもここから逃げ出すことを考えているよ。根を張って生きるなんて到底無理で、なんだか落ち着かないんだ。 「そうよね、あれはダメ、これもダ…

君の側にいるよ

悲しみは波のように、飽きることなく寄せては引いていく。君が疲れていて寂しくて、独りになりたくて、心が折れてどうしようもない時、それでも誰かが必要な時には僕を呼んでくれ、僕は君の元へ迎えに行くから。僕が君と会ったら、そうだな二人で海までドラ…

むしゃくしゃしてはいない

誰でも良かった、ただ周りにいたからという理由だけだ。僕の器量では世界は救えず、日本経済の減退を踏み留まらせることも出来ない。偶然に僕の目の前にいた人に向き合い心を割いて、分け隔てなく出来る限りのことを行ってきた。毎日自分の中の何かを配り、…

果たせるかな

正月休みは終わり職場に戻る。六日間逃げ出すタイミングは有ったが、結局常識に縛られたまま淡々と過ぎてしまった。踏みとどまったのは気まぐれか、もしくは自信のなさの現れなのか。きっとまだその時ではないのだ、逃げ出すには、お金と協力者と場所が必要…

幸せなんて頼りにならない

休暇中に家族と長く過ごす時間は、忙しくしている僕には貴重な時間だ。娘の買い物に付き合い、久しぶりに夕食後に妻と向かい合ってチーズと一緒に赤ワインを飲む。妻は優しくて可愛くて素敵な女性だ、僕は時々美しい人だなって見とれてしまうことがあるんだ…

新しい年、新しい心

一夜にして、興奮から静寂に変わる街の空気は冷たくて、賑やかな雰囲気が好きな僕には寂しくて世界中から取り残された気持ちになる。家族が集い新年の訪れを喜び談笑する間、ソファーに座って眠ってしまった。目が覚めた後、世界が変わってしまったことに気…

おおつごもり

A4のコピー用紙を二つに折り左に今年得たもの、右に無くしたものを書き出す。得たものと同時に無くすもの、ただ無くしたもの、思わず得たもの、一年は意外に長くリストは左が35、右が40と今年は無くしたものが多かった。全てはやがて振り返れば良い思い出と…

家庭人

年末年始の連休2日目の12月30日は家族と毎年会食をする日だった。昼食を都内のホテルで採り、車で移動し横浜の街を散策した。山下公園から赤レンガ倉庫まで子供達を先に歩かせ、妻と手をつないで歩いた。風は冷たかったけどよく晴れて気持ちの良い一日だった…

懲りない男

仕事だと嘘をついて、家族でもなく恋人でもない女と師走の街で逢った。初めて顔を合わせた彼女はとても緊張していた。僕は待ち合わせの駅で待っていた彼女に手を挙げて微笑んで始めましてと握手をした。たちまち彼女の顔が赤くなった。歩きましょうと今度は…

お為ごかしの人生だ

酒席の僕は調子の良い酔客で、その場しのぎに好意を撒き散らし、誰にでも優しい男を演じささやかな饗宴をホストとして演出した。その場での役割を心得て、席の雰囲気を盛り上げたと思う。誤解のないように言い訳をするけど、僕はけして楽しんではいない、皆…

Once there was a way to get back homeward

僕が描く誇大妄想は自己抑制を奪い理知的な精神を覆い尽くすほど成長してしまった。信仰にも近い陶酔感に痺れながらやがて訪れる破滅の日を待っている。自分が価値を見いだせないものに能力を費やすことに意味を見出せず。退廃と倦怠を心に抱えながら素知ら…

迷い間違うことが人の業だ

捨ててもよいと思っていても、しがみつく手を振り解くことは悪の所行だ。誰かを選べば誰かを無くす。自分の器量じゃ精神的にも経済的にも全てを抱えることは無理なことだ。僕は馬鹿ではないが夢見がちな男だから一瞬でも、恩讐を越えた楽園で皆で楽しく暮ら…

ハッピーバースディ そして メリークリスマス

ハッピーバースディ そして メリークリスマス 12月24日に生まれた彼女に書く手紙は毎年同じ言葉で始まる。 僕にとってクリスマスイブは彼女の誕生日で、僕らが付き合っていた頃は、必ず僕はケーキを2種類(誕生日用とクリスマス用に)用意して二つのプレゼン…

I miss you

無くしたものを嘆きながら過ごすことも無理をして生きる日々も捨ててしまいたい。でも僕はこんな生き方しか出来ない。君には君の人生があり、主義や主張は尊重すべきだと思う。無くした半分を探す旅はまた振り出しに戻ってしまった、僕の旅は今後も続き、さ…

微笑む君の横で

「プロキオン、シリウス、ベテルギウス」呪文のように唱えては、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のペテルギウスを結び大三角を確認する。一番近いプロキオンまで11.4光年、近くて遠い時間だ。僕は11年前の過去と11年後の未来(在れば…

マフラーの頃に半袖の季節を想う

濁った瞳にも映る世界は美しく、ひどく危うく儚げで虚ろに見えた。僕の世界の色彩は薄く輪郭がぼやけていて、まるで海の底から空を眺めているように揺らいでいる。浮遊感に戸惑い身体が少し浮いてるようで足元を確認した。まだ地に足はついているし、背中に…

鍵をかけた心の内で

水色の空の下ブルーのコートに袖を通す朝に、ショートカットラブリー君は何を思うの。感情を理性で押し込めた僕は時々堪えきれず、君に話しかけてくだらない冗談を言ってしまう、微笑む君を見ていると、ほっとするんだ。冬の日溜まりにいる猫のように柔らか…

演じているのは誰だ

人間は社会的動物だから立場や関わりの中で幾つもの顔を持つ、感情も性格も立ち位置毎に異なり、場面場面で懸命にそれらしく振る舞っている。僕は投資家、職業人、父親、夫、恋人、友人と相手に求められるままに役割を演じている。そんなことは誰にでもある…

妨げることも人生だ

そもそも人に語れる話はある意味良い思い出で、自分の中では決着がついた話だ。悲惨な過去や苛烈な体験でも話せることは、誰にも迷惑がかからない終わった話だからだ。関係者がまだ生きている、あまりにも陰惨で考えたくもない、話すと死を招く話は墓場まで…

思いやり

僕よりも1日でも長く生きていてくれと彼女に告げると、あなたこそ私よりも1日でも長く生きるのよって彼女は答えた。そんなことを言い合っているうちに、1年2年と僕らの寿命が伸びたら面白いねと話し二人で笑った。僕の命を分けてでも彼女には生きていて貰…

母からの手紙

便箋に肉筆で書かれていた齢八十才の母から届いた手紙は縦書きの文字が右肩上がりで枠をはみ出し曲がっていた。短い手紙は僕の昇進を喜び、僕の頑張りや努力が認められ親として嬉しいと書かれていた。そして少ないけれどと現金が添えられていた。最後の一文…

ぼくを探しに5

「生き残り」という言葉の語感にはネガティブな思いしかない。しかし後悔の気持ちは消えてしまった。仮に人生のある時点に戻りやり直すことが出来ても、僕は同じように立ち振る舞い、結局同じ道を辿ってしまうだろう。それが僕なんだからと悔やむことはない…

ぼくを探しに4

午後の日差しが波頭を光らせていた。照り返しに目を伏せて人気の無い秋の浜辺をゆっくり歩きながら話をした。 「あなたの話は本当なの、あなたはなんでも一生懸命だから想像がつくけど、そんなにお金を儲けて何がしたかったの」 責める訳ではなく彼女の口調…

ぼくを探しに3

最初は彼女からのショートメールだった。12月のはじめに「このままじゃ冬が越せない」と一行だけ書かれていた。彼女の事情聴き電話で長い話をした。以来僕らはメールアドレスを交わし、お互いの誕生日の9 月と12月にメールを送り合うことを習慣とした。僕ら…

ぼくを探しに2

シェル・シルヴァスタインの「ぼくを探しに」という絵本を紹介してくれた彼女は20代の僕にとって最愛の人で、人生に大切なことの大部分を教えてくれた恩人だった。その絵本は無くした欠片を探しに旅に出る話だった。世界を巡り物語の後半でやっとぴったりと…

ぼくを探しに1

君に逢うときは何時も最後だと思って一期一会の覚悟でデートをしてきた。別れ際に見えなくなるまで見送り、振り返ってくれたら嬉しいなって背中を眺めていた。些細な仕草や、笑うと瞳が三日月になるところ、君の全てが可愛いくて自然に微笑んでいた。君は愛…

懇親会の夜

「あなたは堂々としていなさい、そしてトップに立ったからには胸を張りなさい、でも無理せず自然体でいいのよ、信じた通りにやれば良いし、きっと上手くいくわ」 昇格して小さな事務所を任された僕に、彼女はそう勇気付けてくれた。 「明日職場の懇親会があ…

嘘つきな男

君が笑ってくれるのが嬉しくて、僕は冗談ばかり言っていた。楽しそうな君を見ているとなんだか自分が価値のある男だと勘違いしてしまう。相手が喜ぶことが自分の幸せだからこそ、時々嘘をつくこともあり、本心ではないことを隠す度に心は傷む。好きなのに好…

あと何が出来るだろう

僕に残され限られた時間の中で、何が出来るのだろうか。心残りが無いように会いたい人達に会って、将来の夢を語り果たせない約束をした。家族と話す時間を増やし、金融資産を整理し財産分与の割合を決めた。やり残しが無いように仕事をまとめ、密かに引き継…

さようならショートカットラブリー

さようならショートカットラブリー、君は何時でも楽しそうに笑っていたね。さようならショートカットラブリー別れは突然わがままなもので、君が気がつかないうちにその日は訪れた。 さようならショートカットラブリー、もう僕らが会うことはないと君には伝え…

非情な心

プロフェッショナルな仕事には感情はいらない。効率的かつ迅速に目の前の目的を達成することだけを使命とする。常に準備を怠たらず、危機に直面しても慌てず騒がず動揺を表情に出すことはしない。非情で合っても公正に判断し是非を決める。そして味方は護る…

毎日手紙を認めていた

彼女に文章と僕の好きな曲を贈っていた春の始めの頃は、僕にとって癒やしの日々で、彼女の反応を想像しながら曲を選び文章を添え、同じ気持ちで音楽に包まれて眠る夜は二人の秘密の時間だった。離れていても息遣いが感じられるような幸福な夜を僕は過ごして…

不誠実だとは思う

凍える夜に寄り添って寝る。寒いからと身体を寄せ、君を抱きしめながら自分自身を抱きしめている、好きなのは君ではなくて君が好きな僕なんだ。そこに優しさや愛が無ければただの暇つぶしの相手だし、それを承知で付き合うこともあるのだから、自分は我欲の…

幸せなんて

何時だって心の中はゴウゴウと風が吹いているけどそうは見えないはずさ、いたって穏やかに平気に見えるだろう、刃を飲んでいる心、忍の一字とはよく言ったものだ。苛烈な人生を過ごし修羅の道を選んで歩いて来た僕が人並みの幸せなんて求めてはいけない、今…

いちょう並木のセレナーデ

「こんなに面白くて、楽しい人で何でも一生懸命なのに、誰もあなたを認めてないなんて不思議ね、それはあなたの思い過ごしでしょ、皆あなたが大変だなんて考えていないわ、感覚的に冬は寒い、お腹が空いた、口うるさい上司が嫌いってそういった自然な感情で…

午睡

移動の電車は空いていた、午後の日差しが作った日溜まりの中で座席に座り少し眠ってしまった。短い夢を見た、死んだ友人と海岸の岩場に座って海を見ながら話をしている夢だった。彼は日に焼けて元気そうで、そして最後に会った年齢のままだった。5分に満たな…

やってられるか

なんだか馬鹿らしくて、誰かのために心を砕くことも、手を差し伸べて助けることももう辞めたよ。仕事の関わりの人間とは心を開くことはない。今後は作り笑顔で当り障らずに生きる。機嫌良く振る舞うけど本心は語らない、誰にも本当の心の内は見せない。この…

君を探している

この世に生まれた時に離れ離れになった君を探していた。僕らは別の世界で同じひとつの球体だった。この世界に来てからずっと君を見つけようとしていた、色々な人と出会い別れ、この人かと思い結婚をして子供も産まれた。運命の人と結婚したと思っていたが、…

5分で良いから話を聞いてくれないか

理由はなんであれ、自分一人が疎んじられる現実は辛いものだよ、信頼していた人にまで隠し事をされることは気分の良いものではない、全ては不徳の致すところ、身から出た錆、自業自得の結果である。そのうち僕は悪の権化と蔑まれ、酒の肴で陰口を言われる続…

立場は人をつくる、嫌な言葉だ

ため息で眠りため息で起きる。それを指摘された時に、疲れていると実感した。箱に入れられ思うように生きられない自分に嫌気が差している。周囲の評価を気にするあまり、心が安まる日など無い。眠りは浅く夜は長い、毎日朝の訪れに気が滅入った。相手の興味…

満月は明日ですが

月を眺めていたら、随分と遠くへ来てしまった気になった。自分の立っている場所に違和感を覚え哀しくなった。しんみりとした心で車を走らせ、指定された店へ向かった。過去の記憶と未来の不安、 コンビニのカップコーヒーの匂いは飽きてしまった。「大切なも…

スノードームの中に閉じ込められた世界はいつも優しく雪が舞う。

冬の柔らかな日差しが心地よい 天気の良い日に 心の奥にしまっていた 懐かしい記憶を取り出し ほこりを払い陽の光に透かしてみるときがある 過去は一瞬キラキラと輝きそして 静寂と疼くような痛みを残し消えていく 凛とそびえるクリスマスツリーと 静かに降…

新しい鞄を買った

そんなに高くは無いけど、安すぎもしない鞄を買った。鞄に詰めるものは変わらないけど、新しい相棒を見つけたみたいで気分が良いんだ。深海の底の様なブルーの鞄、自分で選んだ物だから特別に愛おしい。鞄一つではそんなに劇的に人生は変わらない、当たり前…

なすがまま

過去に捕らわれているわけではないが、過ぎた日々は美しく、輝く思い出の中では僕も君も笑っていた。後悔は持つべき感情であり、あの時こうしていればと何時も考えていた。でもそれはその時のベストの選択で若過ぎた自分を恥じることはあるが、自分への言い…

待ち人来たらず

水曜日にル・コルビジェが設計した上野の美術館で待ち合わせの約束をした、約束の時間の前にロダンの有名な彫刻の前で地獄について考えていたら、彼女からLINEで連絡があり 「ごめんなさい、体調が悪くて、頑張ったのだけど...今日は行けないわ」 「うん…

唇の先から言葉がこぼれ落ちた

想いは言葉にしてみなければ伝わらないけど 言葉にすると嘘になってしまいそうで怖いんだ 僕は君が好きだ、愛している いや、愛してると言うのは嘘だけど 愛してるとしか伝える言葉がないのが辛い 優しい嘘をつく、心をつなぎ止めていたいがために、 相手を…

不機嫌ではないけど

役割を果たすためと、立場をわきまえるために、少しの時間は怖い人に成ろうと思う、行き過ぎると悪い人になってしまうから要注意だ。こんなのやだけどね、そんな僕も君にはいつも 感謝している、僕の味方でいてくれてありがとう。もしそうでなくとも僕はそう…