物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

言の葉

空から降る想いを受け取った僕は、言葉の谷で文章を紡ぐ。想いを左手に持ち、右手で言葉を拾い上げ重さを確かめて背中に背負った籠に放り込む 小さくとも重い言葉、大きくても軽い言葉、10も拾えば詩が出来る。 空から降る想いは千差万別で、優しさ、辛さ、…

捨て去ることなんて

朝目覚めた時に、ベッドの上で決意した。僕はやはり心の痛みに向き合わなくてはいけないんだと。 開店時間の30分前に店舗に電話をして、14時過ぎに来店する旨を伝えた。幸いにも営業をしていたので安心した。 休日なのに髭を剃り、暑いのにジャケットを着て…

痛みは同じさ

僕が言葉を発することで、皆が不愉快な気持ちになるのは解っている。でも同じように僕も傷を負うことを皆は知らない。 自分から望んだ訳ではないが、いよいよ孤独(気分としては孤高だ)な立場を得たのだ。随分と遠回りをしたみたいだけど、用意されていた場所…

流体の不規則運動

地球3/4は海で出来ている。人間の身体の水分量も3/4の構成比なんだ。 僕らの心が揺れるのは、そんな身体を持って生きているからだと思う。 彼女にそう告げると 「涙は小さな海だったわね」 と答える 「あなたは、嵐にあって流されたら結局わたしのところに戻…

愛してください

何時も許可を貰わないと安心出来ない。僕は此処にいても良いのかな、誰かに必要とされているのかな、僕に会ったことで時間を無駄にしていないか、詰まらなくて退屈じゃないかとか、笑顔で冗談を言いながらも心の中では臆病に、何時もそう思っている。価値の…

誰も知らない湧水

嵐の来る気配があった、風は街路樹の葉を揺らし、木々は艶めかしいダンスを踊った。夕暮れの街に雨の匂いが満ちていく。荒れた天気に掻き乱されぬよう、僕は瞼を閉じて、綺麗な水の湧く美しい土地を想う、広葉樹林の中、清らかでキラキラと磨かれ透き通った…

暑く短い夏の夜

とても静かな夜で、風も止んでいた。 家路に急ぐ人を眺めながら、皆幸せなのだろうかと、無邪気な疑問が浮かぶ。 アスファルトはまだ熱く、地球が内側から発熱しているみたいだった。 予定も無く所在無く、誰かを待つふりをして、地下鉄出口の横で夜空を仰い…

呼んでいる声が聞こえる

大きくゆっくり深呼吸を三回、肩を落とすと、ため息になるから空を仰いで胸を張った。 長年愛用の傘を無くして1週間が経過した。高くはなかったし、傘の先は少し曲がってクタビレていて、防水機能も怪しい代物だ。 だけど、雨の日には僕と一緒に何処にでも出…

ラブミーラブリー

空に浮かぶ満月を見ていたら、 「月がきれいですね」と君に伝えたくなった。夏目漱石は日本人にはそれで伝わると言っていたけど、ちゃんと伝わると良いなって思っている。 そんなとき、君が照れる顔を想像しながら、僕は君の名前を言葉に出して呼んでみたい…

自分よりも好きな人がいる

会話の中で相槌をうちながら、別のことを考えていた。 君の横顔は左側からみるのが好きだとか、睫毛が長くて魅力的だとか、 笑うと出来るエクボとクロワッサンの瞳とかね。 君がいる世界は素晴らしいと思う、柔らかな光が集まる午後の図書室のように、穏やか…

仕事では酔わない

社会に出てから未だかつて重要な取引や、仕事での酒席で醜態を見せることはない。いくら飲んでもやるべきことを果たし楽しむことはない。誰にも隙は見せないし、酔って本音を言う相手の話を記憶して、忘れずに今後の対応に利用している。酒席ではホストを楽…

朝目覚めると

音楽と君に包まれた夜が開けた。ベッドの隣に君を探してしまうほど、君が隣にいるような感覚、おはようとつぶやくと君もおはようと応えてくれるような近さで、僕は君を感じている。昨晩帰り際に君の心を少しだけ拝借して帰ったからだろうか、代わりに僕を君…

雨の惑星

雨の夜、東京タワーや汐留のビルが黒いアスファルトに写りぼやけて海上に浮かぶ水上都市のように見える。 銀座の地下にあるフランス料理店から、路上に出た僕らは、中央通りを歩きながら過去を懐かしみ昔話をした。 四半世紀を遡り、昨日のように思える失敗…

恋文

好きな女の子の好きなところを箇条書きにしてノートに綴る。好きなところが少なくなればなる程、相手を好きではなくなってしまったのか、或いは好きすぎて、感情を言葉に出来ないかのどちらかだろう。 究極は好きだから好きで、楽しいから楽しいで、一緒に居…

劇的なまでに普通の話

人生において劇的なことは何もない、悲しい気分の時にもレクイエムは流れず、淡々と時間は進んでいく。 時間として30分程度、事務的に話し合い、書類に自筆でサインをした。 2時間ドラマのように伏線もサスペンスなく、現実は味気ないほどあっけなく進む。…

降る雨に理由はあるか

雨が降る惑星は地球しか知らない。毎日空から雨が落ちて地表を濡らし憂鬱を積み重ねる。グレーの空に蓋をされた世界はテラリウムみたいな造り物で、現実感のない湿った大気はくすんだ匂いを帯びている。そんな世界で呼吸をしながら錆びていく自分が悲しく思…

梅雨空とカラス

曇り空の下で鳴くカラスは絵になる風景だ。公園のベンチで夕暮れの時間を過ごしている。暮れゆく空には、ねぐらに帰るカラスが群れ飛び、ゴッホのカラスのいる麦畑の絵を思い出させた。 目を閉じて、湿った風を頬に受けている、汗ばむ額が不快だった。絡みつ…

生存競争においては周回遅れのランナーの気分だ

僕は何時でも人生の節目の肝心なところで勝負に負けて、高みには至らず限界を知って退場するの繰り返しだった。小学生の頃に勤しんだ競技水泳に始まり、高校生でのレコード会社のバンドオーディション、大学生では文学賞への応募、業界最大手のメーカーへの…

パッチワークの心

長い休息は望めず、短い休み時間に息継ぎのように深呼吸をして自分を叱咤し前へ進もうと考えている。課題は、山積みで解決出来ることも出来ないこともあり、つぎはぎだらけの心はボロボロなのだ。 僕の居場所は世界の何処にも無い、逃げ道も塞がれて、今やい…

既視感

破滅の予兆はあった、前回と同じように再びこの場所に呼び出され、命か金を選べと選択を迫られる。そしてこの後、僕がどう答えるのか知っている。 全ては後味の悪い結末となる、覚悟はしているとあれだけ大口を叩いていたが、この期に及んでやはり死ぬのが怖…

無害と無益は異なるものだ

今日も目を閉じると気絶しそうなほど眠いから心も身体も弱っているんだ。 僕は此処にいても良いのかな、僕は誰かに必要とされているのか、世の中の役に立っているのか、社会にとって価値のある人間なのだろうか。 労働し、消費し納税しているから最低の義務…

帰宅

久しぶりに家族が起きている時間に家に帰った。ただいまと言うと、こんばんはと下の娘は答えた。不思議な距離感に苦笑いをする。着替えてリビングのハンモックに二人で揺られ彼女が買いたい洋服の話と夏の旅行の話をした。仕事は多忙で予定は組めず、留守を…

無理やりの無理はしていない

風邪を引いて声がかすれて、喉が痛い。でも夜の街に繰り出して、誰かと会って話をすることは止められない。僕は何時死んでも悔いはないから、多少のことなら無理をする。 実は女の子と過ごす時間より、ろくでもない危険な話を持って来る男達と会う時間の方が…

拝金主義者の孤独

ここ何年も長くは眠れず、2時間適度の浅い睡眠を2回程度繰り返し朝を迎える。夜は恐怖であり、忍び寄る不安と鎌首をあげる猜疑心に潰されて息苦しくなる。 深夜には、過去の悪行に苛まれ心が潰れて悲鳴をあげる。亡くなった友人、知人が手招きをしているから…

転倒するまで回り続けた

偽悪的に振る舞っているのに、世間の評価は偽善者になっていた。 味方でも敵でもない、人生ですれ違うだけの他人の評価や噂話に心を痛めることは無駄なのだ。 批判をするのは勝手だけど、僕の何を知っているというのかな、ただ気にいらないのなら仕方がない…

毎晩誰かと会っている

僕は他人と人間関係を築くのが不得意だ。そう悟られないように仕事や社会生活の中では、相手に調子を合わせて社交的に振る舞っている。楽しそうに話しているが本当に楽しいわけではない。 休日には、スイッチを切って他人に興味を持たず、なるべく目立たない…

執着のない心

衣食住に欲がなければ、金もいらない。 名誉にも地位にも興味がなければ、誰かを羨望し嫉妬する事もない。 着る物なんてサイズが合ってれば良いし、 食事は命が維持できる程度のエネルギーが採れれば良い、親しい人がいれば酒など無くても陽気になれる。 住…

引力と斥力の作用と効果

ラブリー君と会う度に、どうすれば君が笑ってくれるのかとか、君のことばかり考えてしまうから、君を引き止めることを控えているんだ。 でも、君の中に存在する「僕」を探して、君をつい意識してしまう。君と会う度に僕は君の中にある自分を探してしまう。 …

公園のベンチは湿っていて雨の匂いが染みついていた

面倒くさい親父達との饗宴を終えて、独り優しい気持ちで夜風に吹かれていた。雨の季節特有の湿った風がジャケットの裾を揺らす穏やかな夜だ。気持ちが良いから口笛を吹いた。なぜかKANA-BOONの「ないものねだり」だった。 公園のベンチは帰る場所を見つけら…

彷徨し知らない街で空を仰ぐ

必要以上に機嫌良くはしゃぐのは限界だった。ため息をついても、上手く呼吸ができなかったから、職場を抜け出した。 行き先なんて何処でもよくて、知らない街の知らない飲み屋で、二度と会うことのない誰かに混じり、独りでビールと酎ハイを飲むことが目的だ…

君にはわかるだろう

彼女と会わなくなって暫く経つ、LINEもブロックし、電話もでない。 むやみに反応して逃げれば追われるだけだから、存在を消すように、彼女との連絡を遮絶した。 もう少しで諦めるはずさ、罵ればいい、僕の悪い噂を流せばいいのさ。そのうち僕のことなんて忘…

誰にでも良い人ではない

あなたが僕を良い人だと言うのは、僕があなたの味方だからだと思います。 幸運ですよ、これでも僕は敵にまわせば、手強くて、めんどくさい相手になるんです。 あなたが本当は味方じゃなくとも敵にならないことを祈ります。 良い人はどうでも良い人でもあり、…

笑っていても可笑しくない

見えないナイフを片手に近寄る人々を傷つけていた10代の僕は、自分の能力では世界を変えられず、何者にも成れないであろう人生に絶望し、罪の有る無しに関わらず社会や周囲の人間達を憎悪し迷惑ばかりをかけていた。 年を重ねて20代も中頃になり、唯一に近い…

悪いがもう好きじゃない

幸せ過ぎて怖いと思ったことはあるか 或いは、この瞬間に世界が滅んでほしいと願ったことがあるか 誰かの幸福が誰かの不幸になり、表と裏が入れ替わる 静かな夜、悪魔も神様も眠る時間に、電話をかけてきた相手を怒鳴りつけていた 非常識をなじり、罵詈雑言…

家に帰りたくなくて逢っていた訳ではない

君と逢うのをしばらく止めるよ。 「どうしたの突然、そんなこと言いだして」 僕の中では突然じゃない、君が大切だからもう逢うべきではないと思っているんだ、と嘘をついた。 「あんたは、そう言っても、わたしのところに、帰ってくるじゃん、今日だって折り…

あんたの好きは軽すぎる

僕は誰にでも好きだと言うから、そのことで誤解を生じることがある。 僕の周りで自分には無い、技術、才能、行動力がある人や、自分と同じ志を持ち実践している人は心から尊敬出来る人だと思う。だから自分より優れた人には、憧れています、あなたが好きです…

夜の風は優しく夏の匂いを運ぶ

週末の雨上がり、青山2丁目から神宮外苑の銀杏並木の下を信濃町に向けて歩いた。 僕の頭には小沢健二の「いちょう並木のセレナーデ」が流れ、秋の黄色に染まる並木道を歩いた過去と新緑の現在を比べ、時間の経過は残酷だなと考えていた。今年の秋には僕はど…

同じ空ではないが、同じ匂いがする風が吹いた。

今月今夜のこの空を君はどこかで見ているのかな 昨年は下弦の月、今年は月齢二歳の繊月だ。 昨年、眠る飛行場には優しい風が吹いていて、薄曇りで余り星は見えなかった。 あれから僕らの距離は縮まったのかな、 あの頃の僕はこの先人生がどう転ぶかなんて予…

老舗の寂しがり屋

今すぐ会えないか、迎えに来てくれと真夜中過ぎにLINEを送った。寝ていた彼女は「どうしたの」と尋ね「今、どこにいるの」と返信が来た。赤羽駅の西口ロータリーだよ、どうしても君に会いたい、5分だけでも君に会いたいと告げると「困った人ね分かったわ、30…

王冠と踵

一緒にいたのに切り離され、余計な物を挟み込むれて、再び僕らは出会った。距離はあるけど会話は出来る、ただ抱きしめることは叶わない。一定の距離で僕らは向きあい小さな世界を形成している。二人が揃わなければささやかなこの世界は崩壊するから、僕らは…

良い人なんて退屈だろ

嫌われるのを恐れず言えば、僕は自分が好きで、目的の為に手段を選ばず、大事な感情の一部が欠如したダメ男なのだ。 本来だらしなく、明日のことより今日が楽しければそれで良いっていう、刹那的な衝動に左右されやすいタイプの人間なのだ、と言ったらみんな…

俺は思うに、たとえばあの子は 透明少女

好きな音楽の話になり、彼女がバンドを組んでいることを知った。 「わたしはギターを弾いている、曲によってはボーカルも」と珍しく控えめに彼女は告げた。僕も昔バンドを幾つか組んでいて、ライブハウスやコンテストに出ていたと話をしたら、演奏の評価を聴…

心はうらはら

求めに応じて僕は僕らしく振る舞った。 同じように見えるけど昔の僕とはもう違う。 僕は事実を知ってしまった、もう昔には戻れないんだ。それが何かは今は言わないけど。 火曜日は躓くことが多い日だ、思うように行かないことばかりだけど、誰のせいでもない…

わたしに振り向いてと彼女は叫ぶ

「わたし、高校生の時に親と喧嘩して出てけって言われて頭にきて、家中の靴を玄関から外に投げ捨てたことがあったんだ」 でも、利口な犬が全部咥えて来て元に戻したんだろ。 「なにそれ、家には犬なんて居なかった、あんた何時もふざけないでよ、おっさん冗…

ミュージックが流れれば

君と僕が見ている景色は同じでも、瞳に映る世界の色彩は違うのだ。 同時代を生きているが、同じ地平を歩いてはいない。付き合う人や食事の種類、洋服の趣味、会話の内容、全てにおいて興味や質感が異なる二人。 金銭感覚、価値観や哲学において全く交わるこ…

月曜日の朝

眠れない夜が過ぎた後で、朝が訪れると眠気におそわれた。 毎日何かを背負い運び、背負い運びの繰り返しだ。 無理に笑って機嫌良く振る舞うのは苦痛で、自分が思うほど効果もない。 自分のことは好きだけど、決して愛していない。 それに僕は誰も愛していな…

薔薇の蕾のように堅い

彼女の言葉にはトゲがあった。 「あんたはなんで、わたしに優しくするの、わたしは生意気でワガママだから、ちゃんと話を聞けとか、他人に合わせろって言われるけど、あんたは言わない」 君はそれで良いんだよ、それが君の感情表現だから、君らしくあれば良…

伝言

僕が君に伝えたいことは ひとつだけです 君が好きです それだけです

猟奇的な君が面白い

最近よく会う彼女は、粗暴で不器用な娘なのだ。彼女は何時も不機嫌でダルそうで10代の頃の自分に似ている女の子だ。 君は愛に飢えているから僕の側に寄って来た、父親が君に向き合わず逃げていたから、僕をその代わりだと思っているんだね。 「あんたみたい…

嘘をつく唇は苦い味がする

昨晩、僕の唇を噛んだのは君なのか、それとも他の女だったのか。別の生き物みたいに跳ねる舌を絡めたのは愛だったのか義務だったのか、僕は君から剥き出しの欲望を手渡されて持て余している。 君は呼べば来るガールフレンドの一人で、たまに肌を触れ合うだけ…