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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

同じ空ではないが、同じ匂いがする風が吹いた。

今月今夜のこの空を君はどこかで見ているのかな 昨年は下弦の月、今年は月齢二歳の繊月だ。 昨年、眠る飛行場には優しい風が吹いていて、薄曇りで余り星は見えなかった。 あれから僕らの距離は縮まったのかな、 あの頃の僕はこの先人生がどう転ぶかなんて予…

老舗の寂しがり屋

今すぐ会えないか、迎えに来てくれと真夜中過ぎにLINEを送った。寝ていた彼女は「どうしたの」と尋ね「今、どこにいるの」と返信が来た。赤羽駅の西口ロータリーだよ、どうしても君に会いたい、5分だけでも君に会いたいと告げると「困った人ね分かったわ、30…

王冠と踵

一緒にいたのに切り離され、余計な物を挟み込むれて、再び僕らは出会った。距離はあるけど会話は出来る、ただ抱きしめることは叶わない。一定の距離で僕らは向きあい小さな世界を形成している。二人が揃わなければささやかなこの世界は崩壊するから、僕らは…

良い人なんて退屈だろ

嫌われるのを恐れず言えば、僕は自分が好きで、目的の為に手段を選ばず、大事な感情の一部が欠如したダメ男なのだ。 本来だらしなく、明日のことより今日が楽しければそれで良いっていう、刹那的な衝動に左右されやすいタイプの人間なのだ、と言ったらみんな…

俺は思うに、たとえばあの子は 透明少女

好きな音楽の話になり、彼女がバンドを組んでいることを知った。 「わたしはギターを弾いている、曲によってはボーカルも」と珍しく控えめに彼女は告げた。僕も昔バンドを幾つか組んでいて、ライブハウスやコンテストに出ていたと話をしたら、演奏の評価を聴…

心はうらはら

求めに応じて僕は僕らしく振る舞った。 同じように見えるけど昔の僕とはもう違う。 僕は事実を知ってしまった、もう昔には戻れないんだ。それが何かは今は言わないけど。 火曜日は躓くことが多い日だ、思うように行かないことばかりだけど、誰のせいでもない…

わたしに振り向いてと彼女は叫ぶ

「わたし、高校生の時に親と喧嘩して出てけって言われて頭にきて、家中の靴を玄関から外に投げ捨てたことがあったんだ」 でも、利口な犬が全部咥えて来て元に戻したんだろ。 「なにそれ、家には犬なんて居なかった、あんた何時もふざけないでよ、おっさん冗…

ミュージックが流れれば

君と僕が見ている景色は同じでも、瞳に映る世界の色彩は違うのだ。 同時代を生きているが、同じ地平を歩いてはいない。付き合う人や食事の種類、洋服の趣味、会話の内容、全てにおいて興味や質感が異なる二人。 金銭感覚、価値観や哲学において全く交わるこ…

月曜日の朝

眠れない夜が過ぎた後で、朝が訪れると眠気におそわれた。 毎日何かを背負い運び、背負い運びの繰り返しだ。 無理に笑って機嫌良く振る舞うのは苦痛で、自分が思うほど効果もない。 自分のことは好きだけど、決して愛していない。 それに僕は誰も愛していな…

薔薇の蕾のように堅い

彼女の言葉にはトゲがあった。 「あんたはなんで、わたしに優しくするの、わたしは生意気でワガママだから、ちゃんと話を聞けとか、他人に合わせろって言われるけど、あんたは言わない」 君はそれで良いんだよ、それが君の感情表現だから、君らしくあれば良…

伝言

僕が君に伝えたいことは ひとつだけです 君が好きです それだけです

猟奇的な君が面白い

最近よく会う彼女は、粗暴で不器用な娘なのだ。彼女は何時も不機嫌でダルそうで10代の頃の自分に似ている女の子だ。 君は愛に飢えているから僕の側に寄って来た、父親が君に向き合わず逃げていたから、僕をその代わりだと思っているんだね。 「あんたみたい…

嘘をつく唇は苦い味がする

昨晩、僕の唇を噛んだのは君なのか、それとも他の女だったのか。別の生き物みたいに跳ねる舌を絡めたのは愛だったのか義務だったのか、僕は君から剥き出しの欲望を手渡されて持て余している。 君は呼べば来るガールフレンドの一人で、たまに肌を触れ合うだけ…

誰も知らない空色

曇天の下で空を仰いで雲上の宇宙を想う、 星も月も見えない夜空を眺めるなんて意味がないと人は笑うだろうが、他人なんてどうでもいい。 見えないものを見ようとする想像力が世界を変えるのだ、他人から与えられた景色やルールなんてつまらないよ、自分の小…

無理、無駄、無口

見ない、言わない、聞かない 全てはうつつのまぼろしだ 誘惑、眩惑、魅惑は迷惑 言葉遊びはもういいや 目を閉じて、言葉を飲み込み、耳を塞ぐ 沈黙は金、お喋りは銀 利口に振る舞い、口を噤む 別れ話もおとぎ話も語らない 心は深海の底に、愛は雲の上に 地上…

目覚めてぼんやりと

気持ちに寄り添い、相手の傍らで心配すること、頑張れと祈り、見守ること。僕が出来ることはそれだけだった。君は大丈夫だったの?と、さっきコーヒーを飲みながら思った。 早く君に会って話をしたいな、でも今まで通り全ては話さない。知ってしまったら僕か…

生きているから、かなしいんだ

自分の周りで、不慮の事故や事件、自死や難病で亡くなった人、また忽然と社会から消えた人達の数を数えていたら、溜め息が漏れた。恐らく普通の生活(何を基準かわからないが)を送る人よりも数は多いのだろうと思ったからだ。 40年前は事故現場で震えていた…

雨の朝に思う

雨音に目が覚める程気持ちは尖っていた。 誰もが彼女の死を悼み、助けられなかった無念を胸に宿し眠れない夜を過ごしていた。 悲しみと怒りはさざ波のように伝搬し心を揺らし続けた。 憎悪と憤怒が体を満たす前に諸悪の根源である怪物を排除しなければ、気持…

成らぬは人の 成さぬ成けり

「あなたはいつも他人に厳しい、責任を自分と同じ様に人に求める。それにあなたみたいに容赦がない人は珍しい、何かをきっかけに人が変わったように冷たい人になる」 僕は生真面目で一所懸命な男だから、冗談を言って笑わせることも、相手を絶望させる一言を…

真実と事実

事実とは起こった現象を記録に基づき、ありのまま伝えることだと思っている。そして真実は個々が信じる結論に沿って好みの素材を集め作った作品だと僕は思う。 僕は今ある事件に巻き込まれている。自分が事実として認識しているものも、バイアスがかかって本…

回転木馬に飛び乗っても街を出ることは出来ない

前に進んだつもりが同じ場所を廻り続けていただけだった。 自分の弱さは知っている、強がっていても繊細で薄っぺらな心は、微風に吹かれただけでも千切れそうに脆いのだ。 冷静で理知的な大人であるように外面を取り繕っているが、僕は誰かに支えて貰わない…

波打ち際を歩いた日

波打ち際をシーグラスを拾いながら歩いた。4月の海は風が強く白く波が立っていた。横を歩く彼女の髪型が崩れて白いうなじから続く左耳のピアスが覗いた。僕は彼女の隠された艶めかしさに触れてしまったようでドキリとした。 海は曇り空を写したライトグレー…

悲しいではないか

取り返しの出来ない今日がある。昨日に戻ってやり直せたら、別の結果になっていたのだろうか。そんなことは判らない、起きたことは事実に基づき現実的に対応するだけだ。なぜ、と言った所で理由なんて本人にしか判らないのだ。平穏無事な人生を歩めない僕だ…

必ず行くからそこで待ってろよ

連休の渋滞で高速道路は1時間で20キロしか進まない。これだと帰りの時間を含めて会うのは1時間ぐらいしかないなと考え、待っている彼女はきっと僕の事を心配してくれているのだろうと考えた。新緑の季節、家族連れ、混んだサービスエリア、渋滞も隣に好きな…

こんなの僕じゃない

今日も職場になんて行きたくもないし、スーツなんて着たくない。なんて駄々をこねても仕方がないよな。給料を貰っている限りに置いては、給料分の職責を全うしたいと思う。 皆には、使命感と責任感を身につけて貰いたいと考えている。今後3年間の先を見据え…

目を閉じると波の音が聞こえた

用意していた言葉を告げて、ほっとした反面、寂しさが胸を満たした。 僕は唯一に近い味方を失い、代わりに孤独を手に入れた。これからは漠然とした孤独と向き合う対処の仕方を学ばなくてはいけない。 向き合って対峙したものとは厳しく真剣に接するのが僕の…

海を想う

人と海の共通点について思い巡らしている。 地球における海水と人間の身体の中の水分の割合はおよそ70%だ、人の中には海があるのだ。 海水の塩分濃度は3%、胎児が浮かぶ羊水と同じ濃度である。 一分間に波が打ち寄せる回数は18回、人が一分間に呼吸をする…

ねぇ少しの間手をつないでくれないか

温もりを感じると安心するから、同じ体温になるまで手を繋いでおくれよ。僕は疲れてしまってヘトヘトなんだ。あらゆる人間関係に、存在することの軋轢に疲弊し擦り切れて肩を落として電車に揺られている。願いはゆっくりと安心して眠ることだ。君の胸に鼻を…

Life

真夜中の街の静さ、漆黒の空に穴が空いたように星が煌めく、木星とベガ、夏の星座が見え始めている、風に乗って遠くから君の声が聞こえたような気がした。 結局、あなたは誰のことが好きなの。 笑顔が素敵で可愛い女の子が好きなんだ、だから君が好きってこ…

東京をよぎる桜月夜、こよひ逢ふ人は...

「あなたの考え方や会話が面白くて、一緒にいると時計が故障してるみたいに時間が早く過ぎていくわ、あなたって何時も一生懸命で、誰にも優し過ぎるから疲れてしまうのね、無理しないでと言っても、こんなの無理じゃないって言う人だし、私あなたの体調を心…

耳元で囁くように静かにゆっくりと

もし僕に愛について語る時間を与えてくれるのなら、僕の信じる愛の形について伝えたい。愛は静かな信用だと僕は思う。親しいという気持ちから築き上げられる心の形なのだ。愛とは本当に、本当に本当に誰かの幸せを願うこと、或いは全てを受け入れ、相手の人…

言葉と気持ちは一致しない

君と会っている時も会わない時も、嘘偽りのない心の内側では何時でも愛の言葉を叫んでいた。誰よりも君が好きだ、大好きだ、本当に好きなんだ。君が微笑むだけで足元の地面が裂けて奈落の底に落ちる感覚だ。自分が墜ちていくのか飛んでいるのか解らず全て君…

全然、好きじゃない

僕は嘘つきだ。 誰にでも優しく甘い嘘をついて、本当のように思いこませるペテン師なんだ。 君のことなんて、本当は好きじゃないんだ。君が可愛いから、照れる君をからかっていただけだ。 君の勧めてくれたバンドの曲なんて聴いていない。そもそも君と会う日…

好き、嫌い

優しさと冷たさ、厳しさと暖かさ、矛盾しながらも二つの異なる感情を併せ持ち生きている。愛があればこそ見事に成立するレトリックだ。無私の心、自分を勘定に入れては正確な判断など出来ない。我欲に駆られ利己的に生きて失敗した僕は自分が幸福になること…

愛なんて知らない

誰かが投げつけた、嫌な言葉や辛辣な思いを受け止めたり、拾ったりしていては身が持たない。 いちいち他人の心の闇に付き合っていたら、僕は感受性が強いから、人の何倍も深く傷つくことになってしまう。 だから僕は心を捨てた。 僕は弱い人間かもしれないが…

I DON’T MIND IF YOU FORGET ME

君が僕のことを忘れてしまっていても、僕は気にしないよ。 待宵の月は朧で、桜は夜の静寂で風に散る。 僕は誰も知らない山の斜面に咲く孤高の桜の古木に想いを寄せる。深山幽谷の中で静謐に命を燃やし、自分の役割を全うし枯れて朽ちる命。誰も知らない花の…

海でのはなし

海は独りきりで見に行くものだ、時々海を見るためにだけ、仕事帰りに車を走らせたこともあった。 ふ頭の先端の駐車場で港に出入りする船を眺め、航海の始まりに高揚する期待感や旅の終わりの安堵と倦怠感を乗せた船を見送った。 対岸のお台場の光が幻のよう…

花に嵐の例えもあるぞ

語るべきことが、多過ぎると、何を書いてよいのか解らなくなる。 好きとか嫌いとか、感情と理性とか。 責任と義務、自由と権利、冷静で信頼感があると言われても、自分の思う真意が何かなんて分からないのだ。 好きな人と一緒に過ごす、困っている誰かを助け…

惜しくもないよ

ねぇ僕が死ぬまでずっと君は愛してくれるのかな?って聞いたら「いいえ、私が死ぬまでね、あなたもそうじゃないの」と答えてくれた。僕は君と一緒にいるときが一番楽しく笑っていられるみたいだって告げると「不思議ね私もそうよ、なぜかしら」なんて微笑む…

春なんて来なければいいのに

花曇りの空は嫌いだ、色のない街に桜を咲かせて街をピンクに染めて行く。春は心が落ち着かない。 穏やかで長閑な日差しの後には、突然不穏な夜風が吹き嵐を呼ぶ。遠く鳴る春雷の音に呼応するように、僕は自分の本性を思い出して、苦笑いを浮かべる。平穏無事…

最期に隣にいるのは誰

3ヶ月後に隕石が地球に衝突して、大半の人類が死滅してしまうのなら、世界の終末を僕はどう生きようかと考えている。 自宅の地下にシェルターなんて無いし、政府要人に知り合いも居ない。隕石が海に落ちた後の大津波から逃れる為、高い山を目指しても車はき…

求めず追い掛けず

僕の決意を示すように、年相応の分別と威厳を持って今日は過ごせたと思う。不思議と気持ちは落ち着いていて、甘えたことも言わず弱さも見せなかった。僕だってやればできるじゃないかと安堵している。 置かれた立場を考えて行動すること、それは簡単なことだ…

春なのに

僕には平穏な人生は似合わないみたいだ。 困難を拾って歩くような僕は少し人とは違うみたいで、理解者も得難い存在だ。 窮地や逆境に陥った時に、人の本性が出るものだ、自分勝手に逃げ出したいやつは逃げればよいのさ、出来ない事を強いるのは私刑であり、…

威風凛々

僕は誰にでも機嫌良く笑ってばかりいたし、どうでもよい冗談と軽口ばかり言っているから、簡単で与し易い男だと軽んじられている。残念ながら僕の生き方は尊敬に値しないらしい。それは全て不徳の致すところであり、僕の甘さがもたらした規律の乱れだ。 僕が…

以心伝心(非言語による精神感応)

ねぇ横顔の君も、向かい合わせの君も全てが愛おしいって思えるのだから、君は凄い人だね。雨降りの日に駐車場からお店へと向かう一つの傘の中で君と肩を寄せ合い歩いた。それだけで僕は嬉しくなって、雨の日もなかなか悪くないなって頬が緩んでしまう。やっ…

潮時

長年着続けたお気に入りのシャツの袖がほつれた。名残惜しいけど洗濯をしてボタンを取って綺麗に畳んでビニール袋に入れて捨てた。 年月の中で擦り切れたのは心も同じで、一緒にいることが楽しみではなく責務に変わり、無理をしているように感じられたら、そ…

想いは言葉を超えない

日常の幸せは、綿々たる日々の積み重ねの上に存在している。綺麗に畳んだ洗濯物、子供達の笑い声、暖かい食事と記念日のメッセージ、安心と安定、過不足なく満たされた心。自分の役割と居場所のある確かな場所。 だけど、ここは僕の本当の場所なのであろうか…

シンクロニシティ

食事を終えてクロークに預けていたコートを受け取り玄関を出た後、僕は心の中でそっとため息をついた。楽しい時間は終わり現実に戻るのか、君ともっと一緒にいたい、離れたくないのだと。そう思った瞬間に同じタイミングで君がため息をついたので、僕の想い…

もし君が

東京に出てくるのなら、僕に連絡してほしい。東京の夜は不思議な魔力に満ちている。素敵なお店を選んで君をエスコートするよ。例えば夜景の綺麗な高層階のラウンジや水槽の並んだ地下の隠れ家、運河沿いの倉庫を改装したバー、キラキラしたシャンデリアが煌…

情熱の薔薇

「なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せなるべくいっぱい集めよう そんな気持ち分かるでしょう」 小さな花を沢山集めて作った花束を贈るように、小さな日常を沢山集めてありふれた生活を過ごす。幸せとはそんなものさ。 「 答えはきっと奥の方 心のず…