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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

威風凛々

僕は誰にでも機嫌良く笑ってばかりいたし、どうでもよい冗談と軽口ばかり言っているから、簡単で与し易い男だと軽んじられている。残念ながら僕の生き方は尊敬に値しないらしい。それは全て不徳の致すところであり、僕の甘さがもたらした規律の乱れだ。

僕が軽い男に見られるのは、僕の本質を知っている人間からしたら驚くだろうが、上辺しか理解しない人達からみれば妥当な評価なのだろう。「あの男は仕事中に無駄口ばかりで自分だけ楽しんでいる、俺には辛い仕事を与えておいて酷い奴だ」そう思われても仕方がないし、反論も出来ない。

明日からは、隙を見せず自分に厳しく公平に人と接するようにする。自分の興味を優先させず、立場をわきまえて職責を果たす。

役割として厳しく煙たがられる存在であるべきだ。相手を気遣い機嫌を取るようなことは控えよう、必要以上に職場の人間と仲良くならない、寂しいけど、そろそろ怖さを伝えることが必要な時期なのだ。

 

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以心伝心(非言語による精神感応)

ねぇ横顔の君も、向かい合わせの君も全てが愛おしいって思えるのだから、君は凄い人だね。雨降りの日に駐車場からお店へと向かう一つの傘の中で君と肩を寄せ合い歩いた。それだけで僕は嬉しくなって、雨の日もなかなか悪くないなって頬が緩んでしまう。やっぱり君は凄いよ、だって隣に君がいるだけで、僕は今日まで生きてきて良かったなって思えるんだ。今だって微笑む君の三日月の瞳を思い出して、今日は楽しかった、良い一日だと振り返りながらニコニコしっぱなしなのさ。

君は凄い人だよ、君の名前を呟くたびに君との距離が近くなるような気がしているし、僕が君のことを考えている間、君も今日の僕との時間を思い出してることが分かってしまう。君も相合い傘の中でのふたりの時間を好ましいと思っていたはずさ。それはなぜだろう?

僕はその理由をこう考えた。君と僕は出会う前から、お互いの体の中に自分が住んでいたんだ。二人は最初その存在に気がつかないでいた。伝達手段は音楽だった、美しいメロディーに乗せて「君は僕なの?」って尋ねてみたんだ。そうしたら君の中に住む僕が反応し、僕の中に住む君がそれに応えて共鳴した。そして同じ周波数で僕らは繋がった。

君と会うと、僕の体の中にいる君が自分の体に戻りたがる、君の中に住む僕も同じように惹かれていく。だから僕らは別れ際に寂しくなるんだ。そしてまた会いたいという気持ちが体から湧いてくる。

さ迷う魂は求め合い時間や空間を越えて、この場所で再会を果たした。君の中に住む僕が僕を呼んでいるから、気がつくと僕は君を探してしまう、君が喜ぶ顔がみたいって何時も思っている、今度君に会うときは何を話そうとか、頭の中は君のことばかりだ。君は凄い人だよ、君は僕の無くした欠片を持っている人だったんだ、35億人の中で唯一無二の人なのだ。ねぇ、やっと探していた君に会えたからには離れたくないって思うことは、間違いではないだろう。それでも僕はやはり困った人なのかな?

 

潮時

長年着続けたお気に入りのシャツの袖がほつれた。名残惜しいけど洗濯をしてボタンを取って綺麗に畳んでビニール袋に入れて捨てた。

年月の中で擦り切れたのは心も同じで、一緒にいることが楽しみではなく責務に変わり、無理をしているように感じられたら、それはもう終わりなのだ。

愛おしいと感じた仕草も興味が無くなれば、煩わしいと思う。彼女のことが好きなはずが、彼女を好きな自分が好きだという事実に気がついた時には、もう恋ではなくなっている。

 哀しいけど、感情とはそんなものだ。坂道を緩やかに転がり始めたボールがだんだんスピードをあげて廻り続けるように、間違った選択であっても自分の意志だけでは止めることは出来なくなってしまう。やがて関係を続けることが目的となり、運命の人に出会った時には、真実の愛に気がつかないふりをして、目を背けてやり過ごしてしまうのだ。僕はそれはとても哀しいなって思うんだ。

そもそも恋愛は恋という衝動的な欲求と、愛という保護的な感情を併せもつ厄介な気持ちで、年月を過ぎ、恋だけが脱落し愛が残り義務を強いるものなのだ。

さて、僕はどうする。最近は自分の意志を持たず、ただただ運命に身を委ねてみようと考えている。どんな結果になっても後悔はしない。神様がいるなら彼もそう望んでいるのだろから。

 

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想いは言葉を超えない

日常の幸せは、綿々たる日々の積み重ねの上に存在している。綺麗に畳んだ洗濯物、子供達の笑い声、暖かい食事と記念日のメッセージ、安心と安定、過不足なく満たされた心。自分の役割と居場所のある確かな場所。

だけど、ここは僕の本当の場所なのであろうか、そんな考えが頭に浮かんで、いつまでたっても消えずに張り付いている。

選んだつもりが選ばされていた。何も考えずに与えられた生活を過ごしているのではないか、違和感と居心地の悪さ誰が悪いわけでない、悪いのはこんな考えを持つ僕なのだ。

互いを求め合い尊重し、何時までも一緒にいたいと言う気持ちは永遠に続く訳がないから、ディズニー映画のハッピーエンドに人は魂を浄化され満ちたりた気分になる。

可能性がある限り諦めないのは性格で、僕がもつ美徳だ。でも今は少し諦めてみよう、忘れてみよう、離れてみよう。そしてそれが普通になって、何も感じなくなるまで心を棄ててみるよ。

 

シンクロニシティ

食事を終えてクロークに預けていたコートを受け取り玄関を出た後、僕は心の中でそっとため息をついた。楽しい時間は終わり現実に戻るのか、君ともっと一緒にいたい、離れたくないのだと。そう思った瞬間に同じタイミングで君がため息をついたので、僕の想いが通じたのかと思いドキリとしたんだ。

「やっと解放されてほっとしたの」と心にもないことを言って本心を隠す僕。言葉は不自由だ、語らなくても僕と君は同じ気持ちなのに。

 君と会う度に、これが最後と心に決めていた。僕は君にふさわしくない、君の将来に災いしかもたらさない男だ。それに君と距離を縮めることで、僕も善良で大切な人を失うことになる。

困ったものだ。僕は君から離れようとしているのに君の魅力に不思議な引力に引き寄せられてしまう。

いずれ僕は君を失い傷つくことは分かっているのに、何故なのか感情をコントロール出来ないでいる。十分大人なのにね、可笑しいよ。でも、諦めるのはもう少し先で良いと思っている、来月は君を何処に誘おうかと考える僕のことを、君は健気で愛おしいと思ってくれるのかな、想い過ごしでも恋は恋なのだ、君と二人で再び逢える日を楽しみに明日を過ごす、ささやかで厳かな願いが叶うことを信じて生きている。君と同じ世界にいることだけで僕は満足だよ、嘘ではない、今日に限っては世界で一番君を愛していると断言できる。素直な気持ちで好きだと言うよ、君が大好きだよ。世界で一番君が好きだ。

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もし君が

東京に出てくるのなら、僕に連絡してほしい。東京の夜は不思議な魔力に満ちている。素敵なお店を選んで君をエスコートするよ。例えば夜景の綺麗な高層階のラウンジや水槽の並んだ地下の隠れ家、運河沿いの倉庫を改装したバー、キラキラしたシャンデリアが煌めくレストランなんて如何かな。

君の希望を聞いて、好きなタイプのお店に誘うよ。もしどの店もお気に召さないのなら、ファミレスのボックスシートでもラーメン店のカウンターでもつきあうよ。君が少しでも僕に興味があるのなら、君が行きたいお店で話をしよう。君が運命の人ならば、頬を寄せあい内緒話をするように、僕が君に出逢うまでの物語を話してあげよう。

全く困った男だよ、こんなことばかり長けている。僕は浮ついた奴だと思うよ、貫禄も威厳もなく、冗談ばかりで気持ちを悟らせないで煙りに巻く。偽悪で偽善と悪にも善にもなれず、偽り続けて本心を誰にも語らないんだ。

でも、君は特別だからって囁く、本当に困った男なんだ。確信犯として君を浚うつもりでいるから、それでもよければ僕に連絡してくれないか。

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情熱の薔薇

「なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せなるべくいっぱい集めよう そんな気持ち分かるでしょう」

小さな花を沢山集めて作った花束を贈るように、小さな日常を沢山集めてありふれた生活を過ごす。幸せとはそんなものさ。

「 答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方 涙はそこからやって来る 心のずっと奥の方」 

悲しいから泣くわけではない、感情が心から溢れて言葉を越えて出て行くのが涙だと思う。

答えは知らない方が幸せだ。答えが解っていても解決出来ないこともある。数値では表せないのが感情だ。世代を超え属性を超えて素直な気持ちで向き合う。同じ事に興味を示し、顔を見合わせて笑う君との時間は楽しい。僕の言葉に照れる君を沢山照れさせて三日月の瞳に映る僕の顔を見ていたいんだ。君が笑顔になると僕も笑顔になる、まるで鏡を見ているようだ。楽し過ぎて困るよな君といると。

可愛い君が僕に会うともっと可愛いくなるから、僕は男に生まれてきてよかったよ。なんて君への想いを語ると、不自由な自分の立場を思い出して深く溜息をつく。僕が猫だったら君の膝の上で眠る事が出来たのにって猫になった自分を想像して、悪くないなって思ったりしている。

 

 

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