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物語は終わっても人生は続く

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

想いは言葉を超えない

日常の幸せは、綿々たる日々の積み重ねの上に存在している。綺麗に畳んだ洗濯物、子供達の笑い声、暖かい食事と記念日のメッセージ、安心と安定、過不足なく満たされた心。自分の役割と居場所のある確かな場所。

だけど、ここは僕の本当の場所なのであろうか、そんな考えが頭に浮かんで、いつまでたっても消えずに張り付いている。

選んだつもりが選ばされていた。何も考えずに与えられた生活を過ごしているのではないか、違和感と居心地の悪さ誰が悪いわけでない、悪いのはこんな考えを持つ僕なのだ。

互いを求め合い尊重し、何時までも一緒にいたいと言う気持ちは永遠に続く訳がないから、ディズニー映画のハッピーエンドに人は魂を浄化され満ちたりた気分になる。

可能性がある限り諦めないのは性格で、僕がもつ美徳だ。でも今は少し諦めてみよう、忘れてみよう、離れてみよう。そしてそれが普通になって、何も感じなくなるまで心を棄ててみるよ。

 

シンクロニシティ

食事を終えてクロークに預けていたコートを受け取り玄関を出た後、僕は心の中でそっとため息をついた。楽しい時間は終わり現実に戻るのか、君ともっと一緒にいたい、離れたくないのだと。そう思った瞬間に同じタイミングで君がため息をついたので、僕の想いが通じたのかと思いドキリとしたんだ。

「やっと解放されてほっとしたの」と心にもないことを言って本心を隠す僕。言葉は不自由だ、語らなくても僕と君は同じ気持ちなのに。

 君と会う度に、これが最後と心に決めていた。僕は君にふさわしくない、君の将来に災いしかもたらさない男だ。それに君と距離を縮めることで、僕も善良で大切な人を失うことになる。

困ったものだ。僕は君から離れようとしているのに君の魅力に不思議な引力に引き寄せられてしまう。

いずれ僕は君を失い傷つくことは分かっているのに、何故なのか感情をコントロール出来ないでいる。十分大人なのにね、可笑しいよ。でも、諦めるのはもう少し先で良いと思っている、来月は君を何処に誘おうかと考える僕のことを、君は健気で愛おしいと思ってくれるのかな、想い過ごしでも恋は恋なのだ、君と二人で再び逢える日を楽しみに明日を過ごす、ささやかで厳かな願いが叶うことを信じて生きている。君と同じ世界にいることだけで僕は満足だよ、嘘ではない、今日に限っては世界で一番君を愛していると断言できる。素直な気持ちで好きだと言うよ、君が大好きだよ。世界で一番君が好きだ。

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もし君が

東京に出てくるのなら、僕に連絡してほしい。東京の夜は不思議な魔力に満ちている。素敵なお店を選んで君をエスコートするよ。例えば夜景の綺麗な高層階のラウンジや水槽の並んだ地下の隠れ家、運河沿いの倉庫を改装したバー、キラキラしたシャンデリアが煌めくレストランなんて如何かな。

君の希望を聞いて、好きなタイプのお店に誘うよ。もしどの店もお気に召さないのなら、ファミレスのボックスシートでもラーメン店のカウンターでもつきあうよ。君が少しでも僕に興味があるのなら、君が行きたいお店で話をしよう。君が運命の人ならば、頬を寄せあい内緒話をするように、僕が君に出逢うまでの物語を話してあげよう。

全く困った男だよ、こんなことばかり長けている。僕は浮ついた奴だと思うよ、貫禄も威厳もなく、冗談ばかりで気持ちを悟らせないで煙りに巻く。偽悪で偽善と悪にも善にもなれず、偽り続けて本心を誰にも語らないんだ。

でも、君は特別だからって囁く、本当に困った男なんだ。確信犯として君を浚うつもりでいるから、それでもよければ僕に連絡してくれないか。

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情熱の薔薇

「なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せなるべくいっぱい集めよう そんな気持ち分かるでしょう」

小さな花を沢山集めて作った花束を贈るように、小さな日常を沢山集めてありふれた生活を過ごす。幸せとはそんなものさ。

「 答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方 涙はそこからやって来る 心のずっと奥の方」 

悲しいから泣くわけではない、感情が心から溢れて言葉を越えて出て行くのが涙だと思う。

答えは知らない方が幸せだ。答えが解っていても解決出来ないこともある。数値では表せないのが感情だ。世代を超え属性を超えて素直な気持ちで向き合う。同じ事に興味を示し、顔を見合わせて笑う君との時間は楽しい。僕の言葉に照れる君を沢山照れさせて三日月の瞳に映る僕の顔を見ていたいんだ。君が笑顔になると僕も笑顔になる、まるで鏡を見ているようだ。楽し過ぎて困るよな君といると。

可愛い君が僕に会うともっと可愛いくなるから、僕は男に生まれてきてよかったよ。なんて君への想いを語ると、不自由な自分の立場を思い出して深く溜息をつく。僕が猫だったら君の膝の上で眠る事が出来たのにって猫になった自分を想像して、悪くないなって思ったりしている。

 

 

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くつろぐ程に痛みは増す

君といると、身体に巻きついた重たい鎖が解けていく、背負わされた荷物が空っぽになったように身体が軽くなる感じがする。

僕は立場を示すために旗を片手に丘に立ち、敵にも味方にも自分が此処にいることを知らせている。意地を張った分、胸も背中もがら空きで、幾つもの矢が刺さり満身創痍の状態だ。

戦いの渦中にいる内は緊張と興奮で痛みは感じない。膝を着くことは許されず、歯を食いしばりながら、平気、平気と涼しく微笑んでみせる。

強い人間はいないが、弱さを見せたら付け込まれる。役割を全うし何時でも矢面に立ち、鼓舞激励の毎日だ。だけど君の前では傷が痛む、辛いとか、もうやだよとか、泣き言を言いたくなる。君が側にいるだけで、会話をするだけで、不思議と傷は癒え身体が楽になるのが本当に不思議だと思う。君と会うと僕は元気になる。君はビタミンドロップで心のサプリメントだね。

ただひとつ、君に会って楽しく過ごした後で僕の胸はチクリと痛む、痛みは違う痛みに置き換えられるのか、上手くはいかないな、そして興味深いと自分で笑う。さて明日も君の笑顔が沢山見られることを楽しみにしているよ、君は僕の薬箱だね、ありがとう君と出逢えたことを感謝している。

偽悪家

呆れるほどの善人や、振り返りたくもない悪人なんて、周りにはいないものだ。皆中途半端でその場の雰囲気で良い人にも悪い人にでもなる。思考を停止し空気に流されて生きているだけだ。杭に縛りつけられた範囲の中でしか吠えることのできない、生活の安定と引き換えに野生を無くした獣の群れだ。飼い慣らされて尻尾を振るのは嫌だなって思う。

社会的な立場に上下はあるが人間に上下はない。年嵩だろうが年下だろうが立派な人間には敬意を払うが、下らない奴らとは交わらないことにしている。

どうでも良い相手と時間を無駄に過ごすことは損失だ。家でテレビをだらだら見ている方がまだましだ。そんなことはしないけどね。

人は何の根拠もなく明日もこの場所で変わらぬ生活を過ごすのだと信じている。

明日の朝、目が覚めるのは幸運な奇跡なのに、感謝することもない人ばかりだ。

今日を懸命に生きていない人々には分からないだろう、それなりの今日にはそれなりの明日しか訪れない。

生きるというのは取捨選択の技術であり、どれを選ぶかで人生は変わる。センスを磨かない人には、詰まらない日々を嘆く詰まらない生活しか訪れないのだ。

誰かが用意した未来に喜びはあるのかな。予定調和の結末なんて御免だよ。

今夜も僕の露悪趣味はとどまらず。危ない人だ、変わった人だと距離を取られるたびに偏屈な年寄りになった気分になるのさ。

 

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わがままを言うよ

僕と会っている時は、君は僕のことだけ考えていれば良い。僕も君のことしか考えない。二人で過ごす時間は二人だけのものだ。世界の片隅で僕らは語らい笑い親しく過ごすのさ。二人の為に世界はある。不思議だけど、これは必然で世界の始まりから決まっていたことなんだ。運命なんだからもう諦めちゃいなよ。君だって心の内では理解しているはずさ。

君は高い塔に捕らわれているお姫様で、僕は君を自由な世界へ解放しに来たのさ、目の前の間違った常識や風習に縛られて人の目を気にして生きるなんて下らないよ、人生は一度きりなんだ、機会を無くすことは勿体ない。本当の愛に生きるべきだよ。

僕は厄介な夢想家でロマンチストな厭世主義者だから、勝手な思い込みでいい加減な事を言っていると思うだろう。どう思われようが僕は本気で信じているんだ。こんな困ったちゃんを君は受け入れてくれるのだから、君は奇特で変わった人だよ、いつも甘えさせてくれてありがとう。

ごめんね、今日は酔っている。そして迷惑な男で本音を語り過ぎた。朝日が登るまで明日が来ることなんて信用してないけど、君にまた会えるのなら良い一日なるだろうと思う。

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